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第四話









 増援依頼はXV級大型次元航行船第4番艦『フォルス』からのものだった。このロス
トロギア強奪事件を最初期から追っている艦であり、携わる3隻を束ねる合同捜査本部
がある艦でもあった。
 今までの履歴から、ロストロギア強奪犯の活動範囲は広いとはいえ以前より特定され
始めていた。警戒地域内を巡航中のフォルスが、強奪犯のものと思しき戦艦3隻を捕捉。
通信を入れたところ、応答の替わりに砲撃を返してきたため、降服の意思は無いものと
判断され、交戦へと至った。
 だが、次世代主力戦艦と言えど、突然の想定外の戦闘であり、三隻とも大型船で大量
の機動兵器を積んでいた為、苦戦を余儀なくされていたこと、そして、交戦と同時に行
った周辺探索で、彼らの活動拠点が近隣にあることが確認された為、現在、他次元警邏
活動中の、合同捜査班3隻目であるL級艦船21番艦『パンセ』に替わり、フェイト達
の乗るベリテに依頼が来たのだった。
「要は、犯人を逮捕しつつ、
 拠点を制圧すれば良いってことだね?」
 一通りの説明を聞き、なのははシャーリーに確認をした。
『まあ、そういうことです。』
 シャーリーが肯くのを聞くと、なのはは時刻を確認した。あと5分で目的地に到着す
る。到着次第、なのは、ティアナが敵機動兵器の撃破、フェイトが拠点制圧へと向かう
算段だった。
「拠点が捕捉されたとあって、
 陸戦用兵器も結構な数が出てきてるみたいだから、
 あんまり空から攻撃されるってことはないだろうけど、
 一応、頭上からの攻撃にも注意をしておくんだよ。」
 フェイトがティアナに念を押す。
 場所は、前回確保した基地からそう遠くない第148観測指定世界の無人惑星だ。一
本の大きい川が平原を蛇行して流れている。上流の方には森が広がっており、その森の
中、座標コードB-025に拠点があるとの報告を受けていた。
『無限書庫に検索を依頼したところ、
 どうやら前回のものと同じく、なんらかの遺跡を利用しているようです。』
 シャーリーが更に報告を入れてくる。この間は、防御機構と言えるものは、大したこ
との無い汎用的な機動兵器だけだったと聞いているが、今度もそうとは限らない。なの
はは、フェイトを仰いだ。
 フェイトはシャーリーの言葉を聞きながらも、何処か遠くを見ていた。涼しい横顔が、
白磁のようだった。深紅の瞳が、何かを睥睨している。なのははだから、一言だけ、み
んなに向かって言った。
「絶対、犯人を捕まえようね。」
 ベリテが戦場へ到着する。



「この間と、機動兵器の型がちょっと違うみたいだね。」
 高高度に佇み、フェイトが足元を動き回る機動兵器を見て呟いた。強い風が耳元で轟
音を撒き散らしていたが、その声ははっきりとなのはに聞えた。フェイトの白い外套が
風に翻りはためく。
 なのはにとって、それは、見たことのないタイプの機動兵器だった。見た目的には、
機動六課の時に相手をしたガジェットドローンII型に少し似ているだろうか、全翼機型
だ。ただ積んでいる完全自立航行システムはそれほど出来がよくないらしい。単純に特
定のものに向かって攻撃をしてきた個体に対して、迎撃並びに追撃行動を取る、という
程度のようだった。
「じゃあ、行こうかなのは。」
 金色の髪が頬を滑る。フェイトが鮮やかに微笑んだ。
「うん、行こう。フェイトちゃん。」
 なのはが答えると、二人は直線を描き、局員と機動兵器が織り成す火花の舞台へと飛
び込んだ。
 管理局側の人員構成は、フォルスが元より保有していた武装局員30名と、AAAランク
魔導師3名、AAランク魔導師が5名に加えて、ベリテからの増員である武装局員20名
とS+ランク魔導師2名、AAランク魔導師1名であった。この増員により、足止めが精一
杯だった戦況が大きく傾き始める。
「行くよ、レイジングハート。」
<< Axel Shooter >>
 合成音が響き、32の誘導操作弾が展開、射出され、機動兵器に降り注ぐ。追尾性能
の高いそれは、一撃たりとも狙いを外すことはなかった。各所で爆発が巻き起こり、視
界が桜色に一瞬変わる。
 その爆発を見届けるなのはを、頭上から砲撃が雲を引き裂いて貫いた。
「――――!」
 なのはは反射的にラウンドシールドでその攻撃を防ぐ。翳した左手に少しの痺れを感
じた。先程の爆発の中から、数機が姿を現す。どうやら全てを撃ち落すまでは行かなか
ったらしい。砲撃が途切れると、なのははアクセルフィンで高く飛び上がる。機動兵器
はなのはをセンサーから見失ったらしく、追撃は来なかった。
 高い機動力と防御力。並外れた攻撃力。そして何より数がある。苦戦を強いられるの
も当然といえた。この戦力差に未だ逃走を許さずにいるのは、指揮官の優秀性なのだろ
う。
 だが、そんな状況ももう終わりだ。
 金の閃光が高高度から一条の矢となって、戦場を射抜いた。その矢が駆け抜けたとこ
ろを、遅れて切り裂かれた機動兵器の爆発が追いかけ、金色の道を作り出した。なのは
はフェイトが開いたその道目掛けて、砲撃を放つ。狙うは、眼下に望む敵活動拠点。
「ディバインバスター!!!」
 大地を劈く轟音が、戦いの空を揺るがした。金色を塗りつぶし、桜が森の奥深くへ狙
い違わず突き刺さり粉塵を巻き起こす。機動兵器が駆逐され、視界が急に晴れる。焼け
爛れた匂いが、風に乗って舞い上がった。
 なのははアクセルシュータで牽制を行いながら、即座に第二撃の起動を行う。そこへ、
フェイトから念話が入った。
『なのは、今から突入するね。
 あんまり無茶しちゃダメだよ。』
 遠くの方で雷光が非線形の軌道を描いて突き進んでいくのが見えた。光が駆け抜けた
後の機動兵器は、あっけなく切り裂かれて爆散する。
「フェイトちゃんこそ、無茶したらダメだからね。
 私とティアナも、すぐ追いかけるから。」
 念話の向こうでフェイトが笑った気配がした。
 なのははチャージを終えて、機動兵器に向けて第二撃を放った。