それは、世界を震撼させる事実だ。
この世紀の発見は、これからの次元世界を大きく揺るがし、その形さえ変えるだろう。
私はそう言って、目の前に座るはやてちゃんに向かって、
重い口を開いた。

「子犬って、フェイトちゃんに似てると思わない?」

はやてちゃんの蒼白だった顔が、驚愕に歪んだ。



「それは、また、すごい発見やね。
 え、と・・・ちょっと確認してええ?」
はやてちゃんは言葉を慎重に選ぶ。
その目は、宙をさ迷い気味で、はやてちゃんの愕然を如実に表している。
「フェイトちゃんが子犬に似てる、っていうんやなくて、
 子犬がフェイトちゃんに似てる、で・・・ええの?」
私はその質問に、大きく肯いた。
そう。
その違いこそが、最重要点なのだ。
私は深く息を吸い込むと、なるべく落ち着いた声を出す。
「あのね、ヴィヴィオのお友達がこの前、子犬を連れておさんぽしているのを見たの。
 それでヴィヴィオが、犬を飼いたいって言い出したの。」
ふわふわの白い毛並みを持った、ころころとした小さな犬。
足元のじゃれついてくる様子はすごく可愛かった。
千切れんばかりに無邪気に尻尾を振って。
「私はそれで、考えたの。
 なんで、子犬ってこんなに可愛いんだろうって。
 そうしたら、気付いたんだよ。」
あのきらきらした目とか、
跳ね回る軽い足取りとか、
綺麗な柔らかい毛並みとか、
無邪気に擦り寄ってくる所とか、
「フェイトちゃんに似てるから、
 子犬って可愛いんだって、気付いたんだよ!」
私は思わずぱん、とテーブルを叩く。
はやてちゃんは目を見開いたまま、じっと私を見つめた。
そう、こんなすごいことに、
今まで誰も気付かなかったこんな重大なことに私が気付いた、
ということに、はやてちゃんは驚きを隠しようがないみたいだった。
たっぷり1分近く固まったあとで、
はやてちゃんが口を開いた。
「それで、犬を飼いたがってたヴィヴィオには、なんて言ったん?」
私は満面の笑みを浮かべた。
「うちにはフェイトちゃんが居るんだから、犬は飼えないって言ったよ。」
だって、子犬より可愛いフェイトちゃんが居るんだから。
はやてちゃんは感嘆のため息を漏らした。