寝ぼけた声で、はやてが呟いた。
「ねむい。」
目をこすりながら、ソファに埋もれるはやてを見て、フェイトが表情を綻ばせる。
「ご飯食べたら、眠くなっちゃったのかな?」
隣に座り、フェイトがはやての頭をなでる。
少し不機嫌そうに、はやてが唇を尖らせた。
「そんな子供やないもん。」
文句を垂らすはやてに、フェイトはそうだね、と言って密かに笑った。
でも、その笑いに気づいたはやてが、目つきを悪くしてフェイトを見上げた。
「なんやの、その笑い。
 バカにしとるやろ。」
口をへの字に曲げて、はやてがフェイトの肩を叩いた。
「そんなことないよ。」
そう言って微笑むフェイトをはやてはじっと睨み付ける。
そのまま5秒静止して。
「む。」
と、変な声を上げると、フェイトの膝の上に寝転がった。
さも当然というような不遜な眼差しを、
不機嫌な顔に浮かべながら寝心地のいい姿勢を探す。
気難しい猫みたいだ。
そう思うと可笑しくて、でも笑うと怒るから、
フェイトははやての髪を指で梳き、目を閉じた。
その手を、はやての指先が絡め取る。
呼吸が、まどろみに変わる。