先に玄関から外を出たフェイトを追って出ると、フェイトは門の先に立ち止まって空を見上げていた。
鮮やかな景色。
目の前の家々も、電柱も、アスファルトも全部がくっきりとしていて眩しい。
空は快晴だった。
はやては跳ねるようにして歩きフェイトに近づいた。
そして、後二歩のところで足音を忍ばせて、ゆっくりとフェイトの隣に並ぶ。
同じように空を見上げると、目の前の家の屋根より随分高いところ、
青空に一機の飛行機が飛んでいるのが見えた。
少し冷たい、澄んだ空気の中では、飛行機に描かれたラインまで見えた。
「飛行機雲って、いつでも出るわけやないんやね。」
そう零したはやての額を、微かな風が煽った。
前髪が数本ぴんと撥ねる。
フェイトは何も答えなかった。
「フェイトちゃん?」
首を傾げて振り仰ぐと、飛行機を追っていた瞳が静かにはやてを向いた。
青空が焼き付いた瞳。
透き通った瞳ではやてを見つめて、フェイトは唇を笑みに変えていく。
静かな微笑みが浮かぶ。
「うん、そうみたいだね。」