「っあ!」
 腰から震えが駆け上がって、弓なりにのけぞった彼女の喉から高い悲鳴が漏れた。
彼女の中に入れた指が締め付けられて、心臓が大きく鳴るのを感じた。荒い息を零しているのは彼
女のほうなのに、自分の息が詰まってしまいそうだった。
「あ・・・んんっ。」
 彼女が今、気をやったのは判っていた。意識を白く塗りつぶしたのを知っていて、それでもはや
ては彼女の内側を撫でる。体の何処よりも温かくて、胸よりも柔らかい気がする。埋めている指が
溶けてしまいそうなくらい。
「は、ぁ・・・、ま、はや・・。」
 体を揺らしながら、彼女が顔を覆って嬌声を上げる。両足がさっきからずっと震えていた。指先
が強張って、お腹には少し力が入ってるのが肌の上からわかる。
 私の指を感じて、彼女はこんなにも身を捩っているんだ。
 そう思ったら、笑みが腹の底から湧き上がってきて仕方なかった。みんなの前では凛と澄ました
彼女が、自分の前でだけはだらしのない声を上げて、赤らんで涙を滲ませた目で哀願してくれる。
他の誰にも、こんなところ触らせてはくれないのに。
「はやっ、あ!っああ!」
 指を折り曲げてお腹の側を掻くと、熱い息に塗れた声が弾けた。
 私にだけ。
 その事実がうれしくて、もう一度、彼女を泣かせようと思った。