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「え、えっと、そのー・・・ごめんね?」
 フェイトが鞄の紐をもじもじといじくりながら小首を傾げた。ハの字眉毛は何かを誤摩化したい
時によく見せる顔で、本人は気付いているのか居ないのか、割合と愛嬌がある。だけど、それで誤
摩化される友人は居ない、ということに彼女は未だに気付いていない。
「ごめんで済んだら警察はいらないのよ! 始業式の日に早々、怒らせないでくれる?」
 アリサがフェイトの頬を抓ると、フェイトはますます困り顔になって、ごめーん、と悲鳴を上げ
た。なのはとすずかとはやては遠巻きに眺めて肩を竦める。
「傷は残らないで治りそう、なんだよね?」
 すずかがなのはに確認をする。
「うん、そう言ってるよ。フェイトちゃん曰く、だけど。」
 はやてはそれを聞きながら、フェイトの左頬に貼られた真っ白いガーゼを眇め見た。ガーゼはフ
ェイトの頬を殆ど覆って、はっきりとした存在感を放っている。他に露出した額とかにも、よく見
れば細かなかさぶたが出来ていた。
「フェイトちゃん、夏の間なんか事件追っかけてたんやっけ。」
 一瞥を送ると、なのはは頷いた。
「うん、細かいことはまだ言えないから、って教えてくれないんだけど、
 ちょっといろいろ立て込んでるみたい。昨日も夜中に帰って来たみたいだし。」
 フェイトは昨年、執務官の資格を取得し、数ヶ月前には魔導師ランクをSに昇格させた。Sランク
魔導師の執務官で、おまけを付けると女の子で引く手は数多なのだろう。はやて自身もほぼ同時期
に上級キャリア試験に合格しているが、こなしている仕事の種類が違う。一概にどうとも感想の言
いようはなかった。
「みんな頑張ってるんだね。」
 不意に、すずかがぽつりと漏らした。はやては思わず振り返り、その横顔を見る。聡明な彼女の
頬はアリサとアリサに怒られて涙目になっているフェイトへと向けられていた。
「みんなにしか出来ないことだから、応援したいって思ってるよ。
 でも、あんまり怪我して帰ってくるのを見ると、やっぱりちょっと、悩んじゃうかな。」
 すずかがはやてを仰ぎ、なのはへと向き合った。なのはは唇に笑みを引く。
「判ってるよ。大丈夫。」