浮かんだ言葉を噛みしめると、乾燥した下唇が割れた。 開いた肉を思わず舌先で舐めても、滲んだ血の味は分からなかった。 地面についた手に汗が滲んで砂がこびりついても、 日差しが黒く自分の影を刻んでも、 震える足で踏みつけにしても、 どうしようもない。 今更、だ。 今更、ここに至って何を思ってみても、何を憤慨してみても。 今はもうどうしようもない。 中途半端な力しかなくて、中途半端なやさしさしかなくて、 何もかも半端だから私は人を傷つけるんだ。 体操服の肩で目頭を拭うと、砂とあまったるい汗の匂いが鼻をついた。 顔を上げると青空と白い雲の下、校庭をクラスメイトが駆けて行った。 今、徒競走の空砲が白煙を上げる。