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あんまり静かだから、はやてはソファの影を覗き込んだ。
ベランダに面する大きな窓ガラスと、ソファの肘掛けの間。
埃と猫くらいしか溜まりそうもない隙間に、頭が一つ見えた。
レースのカーテンがやわらかく崩す陽光に縁取られ、金色の髪は熱を含んで膨らんでいる。
体育座りの上に載せた文庫本は、一番最後のページがその白い指に引っかかったまま。
はやてはソファに寝そべって、そっと肩の上から横顔を窺う。
長い髪が幾筋か垂れた向こう、長い睫を合わせ、目蓋が閉じていた。
耳を澄ますと、ゆるやかな周期で繰り返される寝息が聞こえた。
はやては頬杖をつくと、カーテン越しに空を仰いだ。
朝、曇っていた空は疎らに透けるような青空が現れて、幾筋もの光の帯が見下ろす街並に注いでいる。
風に乗って流れて行くその日に照らされる街を見ながら、
まるで、日溜まりが歩いて行くみたいだと思った。