グリシーヌがテーブルに置いた紙袋に、花火は見覚えがあった。 午後の日差しが斜めに降り注ぎ、二人の影を床に投げかけていた。 紅茶から立ち上る二つの湯気が模様を描いている。 「貰ったんだ、一緒に食べないか。」 花火が問い掛けるより早く、グリシーヌは言った。 紅茶と一緒に突然、部屋に押し掛けて来たのに、断るも何もない。 相変わらずな所がおかしくて、花火は頷いた。 「えぇ。ありがとう。」 金色の睫は光に透け、瞬きをすると微笑みが頬を零れ落ちた。 瞳が花火を見つめる。 遠浅の海のような目から、花火は顔を背けたかった。